本サイトは一般社団法人ちとせタウンネットが管理・運営しております

top_logo
    
  

 コンバスインタビュー 
 公共交通を支えている人びと〜桜木町内会編〜 完全版(1/2)

 

 広報ちとせの1月号にはさみこまれた「コンバス通信最終号」で紹介したインタビュー。
今回は桜木町内会長の五十嵐正雄さんと、役員で環境衛生部長の香月正さんにお話しを伺いました。コンバス通信では載せきれなかったインタビューの全容をたっぷりとご紹介します。



バスの路線を存続させるために「私たちにできること」を模索しました

―――この取り組みが始まったのは2006年(平成18年)の12月だったと思うんですけども、「桜木4、5丁目のバス停がなくなるかもしれない」となった時の町内会の様子や反応を教えていただけますか?

五十嵐さん
 (地図を見せて)これがうちの町内会の地図なんですけれども、5丁目まであって、4・5丁目の方が先に家が建ってるんですよ。それで、早く建ったのもあって高齢化も早いんですよ。 なのでこの辺りはバスの利用者が多いんですよ。車を自分で運転できない人もいますしね。 昼は病院に通う人がいますし、朝夕は通勤・通学に利用する方が結構いるので、桜木長都線の桜木4丁目経由は(桜木先回り、長都先回りあわせて)朝3回、昼と夕方で3回ほど回ってもらってます。
 ですが、一日びっしりは回れないということなので、1日6便桜木4丁目経由が走っているんですよ。今はその6便以外は桜木1・2丁目を回りますが、路線が変わる前は4・5丁目を回るのが普通だったんです。 ですが、乗る人が少ないので「4・5丁目はカットしたい。(現在の)1・2丁目を走る経路にしたい」ということを言われまして、それで(町内会で)環境衛生部長をやっていた香月さんが動いてくれたんですよね。 バス会社へ行って色々調整してもらって。そんなような状況です。


香月さん
 ちょっと補足説明しますと、平成18年の12月に中央バスの路線の見直しがあったんですよね。そして19年の4月から(停留所が)1・2丁目になると市が説明に来たんですよ。 その時に、桜木・長都線ができた当時、路線を4・5丁目に誘致した方々に(説明会に)来てもらったんですよ。それで、その時の市からの説明が“赤字だからカットします”って話だったんですよね。それが一番最初ですね。
 当時市は、桜木4・5丁目の方々は「平均2,1人しか乗っていない」という、そういう数字を出してきたんですよ。 それは分かるんですが、市が経営してる訳じゃなくバス会社が経営している訳ですし、けど、市が補助してやっと維持してる訳で…という話を何回も説明会や役員会でやりましたけど、やっぱり住民側もなかなか納得しない訳ですよ。 まぁ、そうは言ってもどうにもならないですから、撤去、廃止は本当に困るので、何とかお年寄りなど交通弱者の方の通院、通勤、通学を守るために桜木4・5丁目を存続して欲しいと。 しかし全部は無理だから「朝3便(通学2便、通院1便)、午後はその帰りの3便だけでも残してもらう」という案を役員みんなで集まって考えて、町内に住んでる方に何とかこの案を受け入れてくださいとお願いしました。 それで住民に受け入れてもらって、町内会として市に要望に行って、その要望が通ったんですよ。 そこまで言うならと、4月1日からは3便は限定で認めましょうと中央バスさんが言ってくれたんですよ。 よく言ってくれたと思います。それが経緯ですね。
4月1日からも継続してくれると言っていただいたのですが、実際見てみるとバスには全然人が乗っていなかったんですよ。 なので、そうであれば私たちに何ができるか、というのを役員で話あって、春と秋に町内全体で清掃を行っていて400人くらい集まるので、ここで何かできたらいいんじゃないかという話になりました。

五十嵐さん
 バスカードもバス会社まで買いに行ければいいんですが、遠いですし、お年寄りには少し厳しいかなと。 何とかここで買えれば、遠くまで買いに行かなくてもいいんじゃないかなってことで香月さんが提案したんですよ。 その時にもし券が欲しい人がいたら買ってもらおう、ということで、始めたんですよ。 それがもう4年続いてるんですよね。


香月さん
 一番最初は回覧で、「バスは限定だけど存続になりました。しかし私たちができることは何だろうか、バスに乗ることじゃないか、それならまずはバス券を買いましょう。」 という回覧を町内で回して注文をとったんです。その時は(売上が)50万くらいありました。 とりあえず町内会費からちょっと借りて中央バスで券を買ってきて、そして町内で注文した人に配ったんです。それが19年の5月ですね。 でも、2回目の時に、「町内会としてそこまでやるのはおかしいんじゃないか」という意見が出まして、町内清掃する時に中央バスさんが直接来て売ってくださいという形にしたんです。 それがずっと、5年間続いてるんですよ。



 この前の清掃のときで(売上が)40万弱でした。回覧板はこんな風に回しました(チラシを差し出す)。「バスカード販売します、協力してください」と書いてます。そして必ず一緒にバスカード購入の趣旨もつけるんですよ。 こういう厚意によって継続しています、という具合にして回覧板を回してるんですよ、ずっと。(販売は)たかだか1時間のことですけど、定着してきましたよね?


五十嵐さん
 もう大分定着してきましたね。だからもう、この時期になると、清掃のときにお金を持ってきて、そこで買うというスタイルになってますね。


この取り組みが出来たのは、町内全体で集まる行事があったから

―――なぜ桜木町内会でこの取り組みを行えたのでしょうか。また、他の町内ではこういった取り組みが今のところ実現できていない訳ですが、その違いはどこにあるのでしょうか?

香月さん
 またちょっと話戻りますけど、路線存続の要望を出す時に、自由ヶ丘も同じ路線なので、自由ヶ丘の会長さんは協力してくれたんですよ。ですので、要望は桜木町内会と自由ヶ丘町内会で出したんですよ。 それで、その後バスカードの話をしたら、自由ヶ丘の町内会長さんもうちと同じようにやりたいといっていたのですが、自由ヶ丘は掃除を町内全体ではなく、区ごとにやってるんですよ。 自由ヶ丘は6丁目まであるので、6区、つまり6ヶ所でやってるんですよ。うちのように1ヶ所で大勢集まれば同じようにできるんですけどね。


―――あまり町内会の事は詳しくないのですが、区ごとではなく、町内で一つというのはあまりないことなんですか?

五十嵐さん
 ないですね。よそは、例えば大きな町であれば、自由ヶ丘のようにいくつかの区に分けてるんです。新富や北斗もそうだけど、何個かの町内会に分けてますよね。うちも区分けはしてるのですが、大きな行事を行う時は町内全部なんですよ。 盆踊りとか町内の人間が一同に介する大きな行事はありますけど、一番人が集まるのは大掃除でなんですよ。結構昔からやっていて伝統があるせいか、よく集まるんです。 先程言ったように400人くらい集まりますから、あの狭い公園に(笑)だから清掃の時が一番いい機会なんですよ。


―――今でも掃除の度にバスカード購入という運動が行われている訳ですけれども、継続してこの取り組みを続けるほど、バスに対して高い意識を持てているのはなぜでしょうか?

五十嵐さん
 やっぱり必要性ですよね。だんだん高齢化してきて、年寄りが増えてるので、やっぱり必要性でしょうね。当時4・5丁目のところがダメなら中通(上部地図参照)を通してくれとと言ったことがあるのですが、中通は道が狭いんですよ。 大きなバスを通すのは難しいから、バス会社もなかなか「はい」とは言ってくれなかったんですよね。4・5丁目の端から1・2丁目の端まで500mありますから、4・5丁目がカットされていたら4・5丁目の年寄りの人は大変なんですよ。 特に今みたいに足元が滑るとね。だからやっぱり必要性に迫られて、路線を残してもらうために頑張ってるというところかな、と思います。


香月さん
 今、会長が言われた通り、その人その人が必要性、というか、「バスがなくなると困る」と感じているからだと思います。今はどこも確実にバスは減ってますし、しかし高齢化することによってバスが必要になってくる人が増えるじゃないですか。 例えば、別の場所でも券は買えるかもしれないけれど、町内のみんなでやってるから、ここで買って少しでもバスがなくならなければいいな、というそういう感じだと思いますよ。


五十嵐さん
 極端に言うと、みんな自分の車を持ってますからね。車を利用することが多ければ、バスに乗る人はあまりいないと思うんですよ。逆に言うと、住民が誰も困らなければ路線変わったって我々も良いわけですよ。 でも、実際に車を持ってない人、歩くのもおぼつかないような人もいて、病院通ったり、もちろん通学とか通勤もそうです。 そういう方がいるから、少しでもバスが近い方が皆さん助かるでしょうから、そのために一生懸命やってるという感じですかね。


―――バスカードを購入している方は高齢者の方が多いのですか?

五十嵐さん
 そうですね。まぁ、若い人、学生さんなんかもいますけどね。主はやっぱり高齢者の方が多いですね。病院に通うこともありますし。


香月さん
 ぜひ今度取材に来てくださいよ(笑)5月の1週目か2週目にありますから。私、市の職員にもバスカード買ってくれと声をかけてるんですよ。自由ヶ丘とか桜木に住んでる市の職員とかね。


五十嵐さん
 議会とかにも声かけてくれたりね。


香月さん
 副市長とか、(公共交通担当の)中出さん、それから(前公共交通担当の)小田さんとかね。小田さんなんかは今でも来てくれますよ。 やはり、こういう取り組みが少しでも口コミで広まればいいなぁと。 この前市町連との会合があったので、この取り組みを紹介させてもらいましたよ。


五十嵐さん
 バス会社だってボランティアでやってる訳じゃなく、営利目的ですからね。当然利用者が少なくなれば廃止になるし、それを残そうとすると、現状では市がそれだけの負担をしなければいけない、それもみんな税金ですからね。 だから本当は、実際住んでる方が一所懸命やってくれるとそんな必要もなくなるんでしょうけどね。市だって結構負担してるんじゃないですか?


―――そうですね。約5000万円負担していますね。

五十嵐さん、香月さん
 そうですよね…


◆前後のページ |
Copyright (C) 2010 Chitose Townnet, All Rights Reserved.