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 コンバスインタビュー 公共交通を支えている人びと〜相互バス編〜 完全版(2/2)

   広報ちとせの10月号にはさみこまれた「コンバス通信第7号」で紹介したインタビュー。
インタビューの全容をたっぷりとご紹介します。

飛行場の中を走っているのはうちのバスだけなんです

―――では、話変わってバスについてお聞きしたいと思います。先ほどバスに乗られることも多いということでしたが、中村所長にとってこういうバスが走ってたらいいなとか、こんな機能がついてたらいいなですとか、 こういうバスにしたいというような、“理想のバス”はありますか?

ちょっと質問からずれるかもしれないですけど、これから高齢者って増えていきますよね。すると、ビーバスもそうですけど、きめ細かく停まって、 しかもその料金が、ワンコインとは言いませんが、対キロ制とかそんなに複雑な料金体系ではなく、いくら乗っても100円とか200円とか料金体系が簡単なコミュニティバスというか、 そういうものがこれからの時代絶対必要だし、需要も伸びてくるんじゃないかと思ってます。
それと、こうだったらいいなと思う面では、うちの会社のバスは飛行場の中に入れるわけですよ。飛行機が着くと、ターミナルに横付けますけど、 それができない場合はバスで運びますよね。 うちって千歳空港に乗り入れてる唯一のバスなんですよ。飛行場に入れるんですよ。例えばエアドゥなんかはターミナルから遠いところに停まって降りる場合がありますよね。そしてバスで移動して ターミナルまでって。普通は飛行機に乗るとデッキが来てそれに乗って降りるでしょ?ところがまれに飛行機の場合増便とかが出てくると、ターミナルに着けないことがあるんです。そういうときにうちのバスで行ってお客様を運んでくるんです。 これは中央バスさんでもできないことなんです。うちのバスがそこに入って空港の中のお客様の輸送をしてるんですよね。日本を代表する空港ですし、国際的な空港なので、 我が社としてはそこでもうちょっと台数を走らせることができればなぁとも思ってます。


高知の市電のようなラッピングバスで、面白いと思ってもらえるバスにしたい

それとですね、よく、車体ごと全部広告みたいなのしてるのありますよね、ラッピングしたやつ。飛行機でもありますよね、ポケモンジェットだとかね。 ああいうのは会社にとって広告収入にもなるし、やっぱり子供ってバスを見て楽しむってところありますよね。大人でもワクワクして子供みたくなっちゃうんで、 そういう、街を歩いてて「千歳って面白いバス走ってるねー」って観光客の皆さんにも市民の皆さんにもそう思ってもらえるようなバスがあったらいいですね。思いきって車体広告とかデザインを変えちゃうとか。 全部が全部変えれる訳じゃないですけどそういうのがあると会社にとってもプラスだし、まちづくりというか、街並みにとってもプラスだし面白いって思ってもらえる。
高知県に行くと路面電車なんか結構、車体に広告入れてるんですよ。ドアが閉まるとですね、男の子と女の子がキスするようなやつとかあるんですよね。

―――へぇー、面白いですねぇ!

だから、例えばそういう例もあるんだけど、もうちょっとバスというのを広告媒体として使うというかまちづくりの楽しさとかにぎわいというか、そういうので使えたらいいなぁという気持ちです。 そのためにどんどん広告店いって広告貰わなきゃダメなんですけどね。ただ乗るだけじゃなくて、せっかく1日ずっと走ってるわけですから。うちだって30数台走ってるので、、そういう風に使えたらいいなってのはあります。

―――楽しめるバスって良いですよね。例えば1台だけラッピングをしたバスがあって、その日そのバスを見れたらラッキー、良いことあるかも、とか(笑)

ははははは。それを見たら何かが当たる、とは言いませんけども色んな仕掛けができるんじゃないかと思うんですけどね。 全部が全部っていうより、たまにそういうバスが走ってるとね、珍しいから目を引くんであって、そういう風にできたらなぁと思って、これから知恵を絞ってやってこうと思っています。
ですからやっぱり市の交通政策とも連動してくると思うんですけど、きめ細かく停まる乗り降りしやすいバス、ステップが低いとかそういうことだけじゃないですよ。 行政施策としてもバス事業者としてもきめ細かく乗り降りできるコミュニティバスを増やしていくべきだし、乗って楽しめるて見て楽しめるバス、そういうバスをこれからぜひ広めていきたいなぁと思ってます。

企業がたくさんある千歳では、様々な事業展開ができる可能性を秘めている

―――良いものを作るために連携も必要ですよね。広告って言ってましたけども、企業ですとか。異業種の企業もそうですし、もしかしたら別のバス事業者とか、 市民団体も市民も全部巻き込んでっていう風にできたらもっと発展するというか

楽しくなるというかね、イベントなんかに行くとものすごい人気出ますよね、きっと。そういう使い方も出来ると思うんですよ。 交通政策って、特にバス政策ってバス事業者だけで考えたって限界があります。それは、行政のと連携だったり企業との連携だったり、特に千歳って工業団地含めて結構企業ありますよね。 工業団地へ挨拶に行った時に、「バス事業者もいろんな企画していいんじゃないか」と提案を受けたこともあります。 「相互バスさんもずいぶん大人しいんじゃないですか?」と。その人は千歳の人じゃなくて道外から来た人なので、千歳の人っていうのは自衛隊がいて、黙ってても国からお金が入ってくるからアクションを起こさないんじゃないか、という印象を持ったみたいです。 そうじゃなくてこれだけ工場、企業があって、ものづくり、IT企業とか色んな食べ物の工場だとかいっぱいありますからそういった所と連携することもあるでしょうし。
企業との連携っていう意味では、このあいだニトリレディスの大会(ゴルフの大会)の時にうちのバスも結構出ましたけど、そういう所でもっともっと営業のチャンスっていうのもあると思っているんですよね。 さっき道外から来た人の話ししましたけど、「もっともっとバス会社さんて儲けれる方法あるのになぁ」とわざわざ言ってくれるんですよ。我々が教えられるというか。「事業展開もいっぱいできますでしょ、千歳って。」と言われたんですよね。 展開できるようにどんどん考えていかないといけませんよね。私は観光部門も見てますけど、路線バスの方がもっともっと楽しい色んな仕掛けができると思います。だから逆にコンバスさんの方で考えておられる企画ってあるんじゃないんですか。 もうちょっとこんなことやりたいなぁという。私がインタビューしてる訳じゃないですけど、こんなことやってほしいなぁこんなことできたらなぁとかあるんじゃないですか?

―――そうですねぇ、乗っていただいても、その一回きりで終わり、とならないように、リピーターとして乗っていただけるような何かがあったらもうちょっと変わるのかなっていうのもあって、結局駄目になっちゃったんですけど、座席の背もたれの裏側にてすりがあってその下にシールがあってあるじゃないですか。 バスが完全に止まるまで席を立たないでください、みたいな。あのあたりに雑学だったり格言の書いたシールを貼って、もちろん全席違うものを。毎回違う内容を楽しんでもらったりですとか、車内にラベンダーのポプリとか良い香りがするのを車内においてみたりとか、 バスに乗ってくれている人のためのサービスを展開して「また乗ってみたいかも」と思ってもらえないかなと

ダメになっちゃったの?

―――それをやるとすると運転手さんとかバス会社の方のお手数になるというか、仕事を増やしてしまうというか、こっちでサポートできる体制が整わないかなというのもあったので

それはやり方だと思いますけどね。何も手を加えないで楽しいことなんかできないし、もちろん何か仕掛ければ片づけをしなきゃだめだから、そういうことはあまり気にしないで、 とにかく楽しく楽に仕事ができるというか、そのことがサービスに繋がるわけですよね。だからバス事業者っていうのは、ただお客さんに乗ってもらってお金をもらうだけじゃなくてね、楽しんでもらうというか、 私の小さいころじゃないけど、またバスに乗りたいとか、一番前に乗りたいとかね、そういうワクワクバスを、そういうのを目指せればなと思ってますけどね。
ですから、今子供の無料の、やってますよね(9月17日に市で行ったバスの日を記念した子供運賃が無料になる企画)。ああいうのはもっともっと拡大していいと思うし、 小さいころにそれに乗れたというのが大人になってずっと覚えてる訳ですよ。車の免許を持ったとしてもね。私は小さい頃からバスが憧れだったからそういうのがしみ込んでいて今でもバスに乗りたいと思ってるし、 バスに乗ってる40分とか50分とかが苦痛じゃないんだよね。
まぁそれはやっぱり皆さん方と、コンバスの皆さんもそうですけど、行政、市の当局もありますし、 色んなネットワークの中で、まだまだバスを通してのまちづくりはできると思ってますけどね。


バスとは、自分だけの時間を楽しめて、普段見えないものが見えるもの

―――本当はもっともっと聞きたいことはあるんですけど、時間も迫ってきましたので、最後に、中村所長にとってバスとは何でしょう?

生活そのものであり、忘れられてると思うんですけど、バスって時間を楽しめるものだと思ってます。それと、心にゆとりを持てるもの。 乗せてもらってる、周りを見れるっていうか、普段自分で車を運転する中では全然見れないものが見れる、そういう空間だと思ってるんですね。時間を楽しめるもの、そして普段見れないものが見れる、そういう乗り物だし、乗り物であって欲しい。 私はそう思ってます。
自分で分かりますから。普段全然見えないもの、自分で運転してるときに見えないものが見えてきますから。色んな人の動きとか、横断する動きとかそれが見えるし、時間をゆっくり楽しめるっていうかな。 自分で焦ったってどうしようもないので。乗せてもらうわけですから。自分だけの時間っていうかね、そういうものが凝縮されるというか楽しめるものだと思ってますよ。列車ともまた違うっていうかね。軟らかい乗り物ですから。 時間に追われないで、自分だけの時間を楽しめて普段見えないものが見れる、それがバスだと思ってます

―――ありがとうございました!

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